STEP2 会社の大枠を固める
会社の商号を決定する

商号は「会社の顔」とも言える大切なもの
商号をつけるときに厳守するべきルールがある

商号をつけるときに厳守するべき7つのルール

商号は原則、自由に決めることができます。自分の名前、好きな言葉、会社の理念に関する言葉、業務内容をわかりやすく示す言葉、会社にとって好ましいイメージを喚起させる言葉などを取り入れたり参考にしたりして決定されるケースが多くみられます。

ただし下記のルールを順守することが求められます。

1必ず「株式会社」の文字を入れる
2数字やローマ字を使用することができる
3すでに世間で著名な名前は使用できない
4使用できる記号は限定されている
5支店名・部門名を入れることはできない
6法的に資格がないと使用できない言葉を用いることはできない
7公序良俗に反する商号は使用できない

それぞれ少し詳しくみていきましょう。

商号のルール 01
必ず「株式会社」の文字を

社名の前後、または中間に入れることができます。
○「△△商事株式会社」 「株式会社△△商事」

商号のルール 02
数字やローマ字はOK

漢字、ひらがな、カタカナ、数字、ローマ字を自由に使用することができます。
○「10 STAR商事株式会社」 「株式会社ATOMデザイン」

商号のルール 03
すでに世間で著名な名前はNG

有名企業の商号や、社会的に認知されているブランド名などは使用禁止です。

商号のルール 04
使用できる記号は限定

使用が認められている記号は「&」「・」「,」「’」「‐」「.」のみで、このうちピリオドは文末でのみ使用できます。
「!」「?」「○」「☆」などを用いることはできません。
 ○「株式会社M&K」 「株式会社A‐Z」

商号のルール 05
支店名・部門名はNG

会社名の後に部署名、支店名などを入れ、それを商号とすることはできません。
×「株式会社日本興業青山支店」 「株式会社山田商会営業部」

商号のルール 06
法的資格を示す言葉

「銀行」「信託」「病院」「クリニック」など、実際に営む業種以外の、法的資格を示すような言葉は使用することができません。
 ×「株式会社都市デザイン銀行」 「株式会社建築診断病院」

商号のルール 07
公序良俗に反する商号はNG

「公序良俗」とは「公の秩序、善良の風俗」を縮めた言葉です。商号には、社会の秩序を乱したり、一般的な道徳観念に反する言葉を用いることはできません。
 × 「脱税指南株式会社」 「密輸請負株式会社」

類似商号規制が緩やかになったことの功罪をしっかり理解しておこう

会社法の施行以前は「類似商号規制」がなされていて、同じ市町村内で同業の営業を行う場合には同じ商号や似た商号を登記することができませんでした。そのため会社の商号を決定する際には、登記所で類似商号がないかどうかを念入りにチェックしなくてはなりませんでした。時間も手間もかかり、会社設立のひとつの負担となっていた側面があります。

しかし会社法により規制が緩和され、現在では「同じ住所で同一の商号は禁止」という形に緩やかになりました。

紛らわしい商号は「不正競争防止法」に抵触する恐れがあるので慎重に

類似商号規制は緩和されましたが、他社の商号や紛らわしい商号の使用は会社法で禁じられています。登記以前に、同一の商号があるかどうかを登記所やインターネットなどで確認しておく必要があります。

また有名企業と同一の名前をつけると「不正競争防止法」という法律に抵触し、損害賠償請求の対象になります。同一でなくても紛らわしい場合はやはり他社から訴訟を起こされる恐れがありますので、商号の決定は慎重に行いたいものです。

経営者なら「自社の商号を守る」という視点を持つことも必要

類似商号規制が緩やかになったことは、いい面ばかりともいえません。かつては規制のおかげで、同一市町村内で同じ商号や紛らわしい商号が使われることがありませんでした。混乱も防げましたし、詐欺まがいの行為を防止することにも成果を上げ、取引の安全性が守られていました。

しかし現在では、まったく住所が同じでない限り、同業者が同じ商号を使うことができます。自分の会社の目と鼻の先に、同名の同業者が現れることが、法的に許されているのです。こういったことのないよう「商標登録」をするのも、商号を守るひとつの方法です。

商標登録は特許庁に商標件の登録をすることをいいますが、効力は全国に及び、他社は同一または紛らわしい名の商品名やサービス名を使えなくなります。会社の商号をブランドとして育てようということであれば、時間も費用もかかりますが商標登録を検討するとよいでしょう。

*商標登録は、申請(出願)してから登録まで1年前後という長い時間がかかります。
*登録されるには調査や審査など複雑な手続きがあり、自分ひとりで行うには大変です。専門家(弁理士)に依頼すると最低でも20万円前後の費用がかかります。
*商標登録の効力は永続するものではなく、5年または10年で更新する必要があります。

商号を変更しないほうがよい「絶対的な理由」がある

会社法上、商号の変更は可能です。ですがその場合、定款や登記内容の変更、税務署などへの変更届ほか、多くの手続きが必要です。

定款や登記内容の変更には費用がかかりますし、会社の看板、名刺、社用の封筒など社名入りの備品の作り直しなど煩雑な作業は膨大です。なによりそれまでに築いてきたブランドをいったん捨て、また新たに名前を売っていかなくてはなりませんから負担も大きいのです。やはり商号はできるだけ変更せずにすむほうがよいでしょう。

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