STEP2 会社の大枠を固める
本店所在地を決定する

「本店所在地」は、法律上の会社の住所
「本社の住所」とは似て非なるもの

本店所在地は「登記上の会社の本拠地」

本店所在地を「本社の住所のことだろう」と考えるのは正確ではありません。本店所在地の「本店」は法律用語で、「本社」とは違います。本店所在地は登記上の会社の本拠地を指し、必ず1箇所でなければなりません。

その一方でビジネス用語である「本社」は実際の営業の本拠地を指し、登記上の「本店」と一致するとは限りません。さらに本社は1箇所とは限らず「東京大阪両本社」というスタイルの会社もあります。

会社法では会社設立のとき、ひとつの会社につき1箇所の本店所在地を定めるよう求めています。設立登記や税務関係の届出等は全て、本店所在地を管轄する登記所や税務署で行います。

本店所在地のおおまかな決定は定款作成時までに行うこと

定款を作成する段階では、「東京都千代田区」というように、最小行政区画まで決まっていれば、手続き上困ることはありません。事務所の場所が正式に決まっておらず、番地まで届け出ることができなくても問題にはなりません。
しかしその次の段階で行う「設立登記」では、本店所在地の番地まで登記事項として求められていますので、それまでには決定しなくてはいけません。

本店所在地を社長の自宅にする際の要注意事項

小規模会社においては本店所在地を社長の自宅住所にするケースがみられます。その際、充分に気をつけなくてはいけないポイントがあります。自宅が自己所有の一戸建てなら問題はないのですが、賃貸物件や集合住宅である場合には、事業用途として利用してよいのかを事前に確認する必要があります。

賃貸物件の場合は大家さんや管理不動産会社に、自己所有の集合住宅の場合は管理組合などに、法人として登記してもよいのか、事業の拠点として使用してよいのかをきちんと確かめます。これを怠ると後に問題となり、本店所在地の変更を余儀なくされて費用や手間が無駄にかかってしまうことにもなりかねません。

また本店所在地は融資に関係してくる場合があるので留意しておくとよいでしょう。各都道府県や市区町村にはさまざまな融資制度がありますので、候補地が複数ある場合は融資制度の内容をよく確認し、もっとも有利なところを選ぶのもひとつの方法です。

本店所在地、2つの記載方法のメリット&デメリット

本店所在地は定款に必ず書かなければならない記載事項ですが、2通りの記載方法があります。

(1) 最小行政区画までを記載する

例)  東京都千代田区 神奈川県横浜市

(2) 本店の所在場所(番地まで)記載する

例)  東京都千代田区神田神保町○丁目○番○号

(1) のように記載しておけば、その行政区画内で本店を移転しても、定款を変更する必要がありません。千代田区なら千代田区内で引っ越しをすれば定款はそのままですみます。しかし(2) のケースだと、定款を新住所に変更しなくてはなりません。

その一方で設立登記には、本店所在地を番地まで書く必要があります。登記後に引っ越しをしたら、変更登記や税務署などへの移転手続きをします。

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