STEP1 会社の仕組みを知る
会計参与と監査役

「会計を厳密に」「経営の健全性を外部にアピールしたい」――。
経営者の多様な希望を叶えるには、賢く機関を設置するのが鍵

税理士もしくは公認会計士が務める「会計参与」

「会計監査」と「会計参与」はどちらも決算書など会社の会計を扱う重要な役職ですが、立場が大きく異なります。

かつての法律では会社の規模に関わらず3人以上の取締役・1人以上の監査役を選任しなければなりませんでしたが、会社法の施行によって設立方法も株式会社のシステムも簡素化され、社長1名を取締役にするだけで株式会社を設立することができるようになりました。

会計監査

会社外部の第三者が、決算書や会計記録が適正に行われているかチェックする機関

会計参与

会社内部の人間として、取締役たちと一緒に決算書を作成する機関

会計参与は会社法によってできた比較的新しい機関で、税理士(税理士法人)もしくは公認会計士(監査法人)の資格を持った者のみ、その任に就くことができます。
会社は、税理士や公認会計士といった外部の会計の専門家を内部の役員として招き、会計参与は内部の人間として帳簿や資料をチェックし、決算書を作成するのが主な役割です。もし取締役による不正を発見したときは、株主に報告する義務があります。

ここでは会計参与についてみていきましょう。

会計参与の権限

■ 会計帳簿や資料のチェック
■ 会社の業務や財産の調査
■ 株主総会などで発言をする

会計参与の義務

■ 取締役と共同で計算書類を作成する
■ 株主総会、取締役会で計算書類の内容を説明する
■ 「会計参与報告書(*1)」を作成する
■ 計算書類などの備え置き
*1――会計参与報告書は、株主や債権者などに対して情報を提供するためのものです

会計参与の設置には大きな「信用アップ効果」が見込まれる

会計参与という機関は、株式会社に設置が義務づけられているわけではありません。従って設けなくてもよいのですが、設置すると大きなメリットがあります。

会計参与を置いている場合、金融機関等に対して、決算書の正確性、信頼性をアピールすることができます。金融機関によっては、会計参与を設置している会社には借入の際に金利を優遇したり、代表者の個人保証を免除したりする例もあります。

「監査役」が監査を受け持つテリトリーは「会計」と「業務」の2つ

監査役は経営者が適正に業務を行っているかどうかをチェックする機関ですが、「会計監査」「業務監査」の2つがあります。

会計監査

会社の財政状況を監査する機関

業務監査

会社の取締役が適正に業務を行っているかどうかを監査する機関

会社法ができる以前は、株式会社には取締役3名と監査役1名を設置する義務があったので、経営者にはなじみ深い存在でしょう。
監査役と同様に、取締役会も取締役の業務をチェックする役割を負っていますが、同じ取締役同士では厳正なチェックができないことも考えられます。
監査専門の機関を設けることでより適正な監査業務が実現できます。

監査役の監査範囲を会計に限定する――そのメリットとデメリットとは?

小規模会社では、監査役が担う監査の範囲を「会計監査」に限定し、「業務監査」を除くことができます。そういったケースでは、業務監査に関しては株主による監査権限を強化して補います。
小規模会社の場合、取締役も株主も社長が兼ねていることがめずらしくありません。その場合、監査役の範囲を会計に限定すると、結果として社長が自分で業務を行って自分で監査するという形になります。
小さな会社においてしばしばみられることではありますが、もし積極的に対外的な信用を求めようという思いがあるならあまり向かないスタイルともいえるでしょう。

会社に健全さを実現する「監査役の権限」

監査役は、取締役の職務の執行を監査し、監査報告書を作成します。

取締役の不正、違法行為を発見した際は、ほかの取締役に報告する義務があります。

取締役会を設置している会社の場合、取締役会に出席して意見を述べることができます。

取締役が株主総会に提出する議案や書類に違法な事項が含まれる場合は、株主総会で報告する義務があります。

会社と取締役の間で裁判が行われるときは、取締役同士の遠慮などを避けるため、代表取締役でなく監査役が会社を代表します。

大規模会社の複雑・膨大な監査業務をチームで行う「監査役会」

規模の大きな会社では監査役の職務が複雑・膨大になります。よって監査役会を設置して、監査役メンバーそれぞれの役割分担を設定し、組織的に監査を行うことが必要になります。反対に小規模の会社にとっては設置の必要性がない機関といえるでしょう。
監査役会は、3人以上の監査役で構成される機関です。3名のうち1名は常勤、過半数を社外監査役にしなくてはなりません。

大規模会社を切り盛りする「三委員会」と「執行役」

会社法が施行される以前は、資本金1億円超の会社のみに置かれていた機関です。委員会には「指名委員会」「監査委員会」「報酬委員会」の3種あります。

指名委員会

取締役の選任、解任などの議案を決議します

監査委員会

監査を担当します

報酬委員会

取締役の報酬などを決定します

委員会は3名以上の委員で構成され、過半数は社外取締役と定められています。
委員会を設置する会社は、代表取締役は置かれません。取締役会で選任される「執行役」が業務を行い、会社を代表するのは「代表執行役」となります。この機関も小規模会社にとっては設置の必要性がほとんどありません。

公認会計士もしくは監査法人が担う厳格な監査業務――「会計監査人」

そのほか大規模会社に設置が義務づけられている「会計監査人」という組織があります。会計監査人は社内の機関ではなく、会社と委任契約を交わした外部の存在です。公認会計士、もしくは監査法人のみがその任に就くことができます。

大規模な会社では計算書類に関して「会計監査人と監査役(監査役会)」もしくは「会計監査人と監査委員会」という二重の監査を受けます。

会計監査人を置いて厳密な監査をするのは法人として好ましいことですから、小規模会社でも会計監査人を設置することはできます。ただし実際にはほとんど必要性は認められません。

会社設立は横浜の会社設立サポートデスクへ会社設立は横浜の会社設立サポートデスクへ

ご面談いただいた皆様に「会社設立完全ガイドブック」プレゼント!

会社設立に必要なもの、会社設立の流れ、経営を成功させるための秘策…「知りたいこと」がぎゅっとつまった会社設立サポートデスク特製のガイドブックです。

ご面談いただいた皆様に無料で「会社設立完全ガイドブック」を差し上げております。
どうぞお気軽にお問い合わせください。